新しい街

新しい住居の内見を済ませてきた。
改めて東京に戻るのだと思うと、足がすくんで動けなくなる。
はたして、どこまで長く続けられるのだろうか。

水商売は私には向いていなかった。
生まれ持って得た顔の作りだけでその場をなんとか取り繕っているだけで、客を満足させる事など何一つできない。
笑顔でたわいもない雑談をするなんて最も苦手な作業だ。
更に、やれ痩せろだの髪を明るくしろだの言われてモチベーションも下がる。
下がったままのモチベーションで笑顔になんてなれないから薬を常備する。

この業種の唯一の利点は、携帯をいじりながらぼーっとしてても時給が発生する所と休みの融通が利くこと。
それ以外はおっさんのセクハラ地獄でしかない。精神を悪化させる要因の一つにもなり得た。

「もう嫌だ。普通の仕事がしたい…」

そんな風に強く願った時、突然採用の電話がかかってきた。
私にはこういう奇跡が度々ある。元来は運がいい体質なのだ。

しっかりと働けるかは分からないし、とうてい判断もできない。
しかし一つだけ分かっていることは、
水商売に戻るよりは精神的に楽だろう、ということ。

p.s.未来の私へ
もう無理なダイエットも似合わないドレスもしたくない着たくない。おっさん達に気持ち悪いこと言われるのも疲れた。だからお願い。頑張って。

始まりは終わり

私は何かを始めるとすぐに終わりを見つめる。無理やり見る。
どんな事にも終わりはあるんだと再確認して1人で絶望する。
だから、それに纏わる人間関係は極力避ける。だって結局は終わってしまい、無駄なものになるんだから。
じゃあね、さよなら。って拒否されるのは怖いじゃない。
嗤われるのなんて耐えられたものじゃない。
だから、そんな事になる前に逃げるの。
現実世界は長年の友ですら残酷で、私の思い通りにはいかないけど、
空想の世界なら私を傷つけない。
こうして私はいろんなアニメや映画を借りてくる。

私はとても偏食なんだ。
周りの人間のように、出された料理をなんでも食べれるほどよく出来た人間じゃない。
後悔しないための選り好みはとことんする。
それだけだ。

でも、私が命をかけられるような。
終わりなんて信じたくない、このままずっと続けばいいのにと思うような出来事に出会えたら。
それはきっと幸せな時間なんだって、経験しているから言える。

一文無し

文字を書く仕事も辞め、スナック紛いのアルバイトを、週に1、2回こなすだけの生活が続いている。
寒波と共にやってきた精神の不調は、私を鈍感でものぐさなニート予備軍にした。

だが、悠々と過ごしていられるほど恵まれた環境にはいないのだ。
奨学金は返納しなければならないし、
年金も支払わなければ将来が不安だ。
そうこうしていると、趣味や美容に一切金をかけなくてもわずかな稼ぎが消えていく。

やはり、どうしても働かなければならない。
そして働いて、お金が溜まったら東京に行くんだ。そこでメンヘラの終止符を打とう。
お金を貯める為に、できる事を少しずつやっていく。

文字を書く仕事

今月から新しい仕事を始めた。
ただ淡々とパソコンに向かい文字を打つ作業。ライターとしての仕事だ。
契約社員として大企業に勤めるのは、なんとなく会社の中で「お客様感」を覚える。
私の席はお局の隣で些か居心地がよろしくないが、的確に業務を教えてもらえるので助かっている。

求職者の散髪

美容院に行った。カットとカラーをやってもらえればなんでも良かったので、セットで4000円の店にした。
駅から近いという条件だけで予約をしたら、どうやら私の通っているメンタルクリニックの真向かいにある店のようだ。

高い店ではないので、アシスタントスタッフは接客が雑だ。それとは対照的に、店長は腰が低く美容師として開き直ってない丁寧さが好感が持てた。そんな時も
「これもこの人が長年してきた経験で培った接客なんだ。この人も仕事をしているんだ。羨ましい」そんな事を思いながら、足元に毛がパラパラと落ちたままのイスに腰をかけた。

ワイパックスの効き目はない

9月1日から、事実上会社を辞めた。
仕事に全く意識が向いていないのだから仕方ない、と自分に何度も言い聞かせている。
私の周りの、まともな人達はきっと意識なんて向かせないでも仕事ができるんだと思う。

お金は入ってきても無職なんだと言うことが、この3日間でじわじわと実感できた。
極めつけが、応募していた企業からの不採用通知だ。

私は、仕事を殺せない。

見極める

今自分に必要な事がわからない。
なるべくなら、苦労はしたくない。

働きたい。でも働きたくない。
お金が欲しい。でも好きな事をしたい。
楽に生きたい。そのあと自殺したい。

私は、お金以外の苦労をしたことがない。
金にはずっと縁がないが、それ以外の事は我慢や努力をしなくてもなんとかなってきた。
それが仇となって、絶対的な経験値不足に陥っている。
経験値がないからレベルも上がらず、
本来ならばレベル24に相応しい敵も倒せない。
スキルもない。

私が大学ではなく専門学校に通っていたら、お金を稼いでいたのかもしれない。
そんな現実逃避の空想をする。